中小企業の多くを占める同族会社ではオーナー経営者の死とともに親族内での争いが激化したり、選んだ後継者に経営能力がなく業績が急に悪化したりするケースが珍しくありません。遠い将来の話と思わずに事前の取り組みを十分行うことが企業の永続的な繁栄につながります。
事業承継はなぜ難しいか?
それは本音で話し合えないテーマだからです。
ある程度の規模の会社になると、「この会社、誰が引き継ぐのかな?」というテーマが会社の内外の関心事として浮上します。様々な意見や思惑が生まれますが、本音で話し合うのが難しいテーマゆえ、中々進まないのが事業承継です。事業承継の目的は事業を譲るだけでなく、事業を更に成長させ、強い企業を作っていくことです。まずは経営者自身が次のポイントを考慮しておくことが大切です。
事業承継は顧問税理士に相談するだけで進められるようなテーマではありません。事前準備の取組を行うほど成功する確率が高くなるといわれています。綿密な計画と着実な実行を心掛けましょう。M&Aは大企業だけの手法ではありません。廃業、後継者不在で悩む前に一度お考え下さい。
後継者不在、事業の先行き不透明等で「廃業」をお考えの経営者の方。勇退戦略の一つとして株式交換によるM&A(事業売却)も一つの選択です。逆に、これから新規事業への進出を考えている企業にとって、M&Aは事業立上げにかかる時間を買う有効な手段です。但し経営者、残る従業員ともに事業売却に対して半数近くが「抵抗感」を持っていることも事実ゆえ、M&Aのメリット・デメリットを会社の内部事情に精通している税理士と相談していくことが重要です。一般的に言われるM&Aのメリットや弊害には以下のようなものがあります。
その他には、売却企業側が「自社が売却できるとは思えない」としている企業が全体の3割近くあることが分かっており、具体的な検討に入る前に「イメージで避けている」ケースが相当数あると推測されます。心当たりの経営者の皆様は、まず税理士や信頼できる同業者などと相談しながら「廃業」を考える前に「自社の企業価値」について一度精査して考えられては如何でしょうか。